かんきつ類果汁が骨折予防に有効
オレンジやグレープフルーツなどのかんきつ類果汁を毎日グラス2杯摂取すると、骨粗鬆(しょう)症による骨折を防げることが、米テキサスA&M大学キングスビル校でのラットの研究で明らかにされた。骨粗鬆症は、加齢とともにテストステロン値が低下する高齢男性で問題となっている。
同大Vegetable and Fruit Improvement Centerの研究チームは、循環テストステロン値の低いオスのラットを、食餌の変更なし、オレンジ摂取、グレープフルーツ摂取の3群に割り付け、酸度を下げるために炭酸水素ナトリウムを添加した新鮮な果汁を毎朝与えた。
その結果、果汁摂取群で骨密度が上昇し、骨が強化された。研究者で同大人間・動物栄養学教授のFarzad Deyhim博士は「骨密度は、酸化体が増加すると低下する。今回の研究では、グレープフルーツ、オレンジ両果汁とも、ラット体内の抗酸化物質を増加させた。これがプラス効果をもたらした」と説明する。
果汁がいかに骨を強化するかを検討するために、ラットの骨細胞構造の研究が次のステップとなる。同センター長のDhimu Patil博士は「かんきつ類には400種の成分があり、効果のある成分を明らかにする必要がある」という。
米国では骨粗鬆症による骨折が、毎年約150万例発生している。Patil博士は「加齢が原因の物言わぬ疾患だ。しかし骨の強さを維持できるなら、骨折も避けられるかもしれない」と述べている。同研究結果は、米医学誌「Nutrition」2006年5月号に掲載されている。