不眠の原因の多くは人間関係のトラブル?
■ 人間関係の悩みや自信のなさから不眠症に陥るケースも
悩みやストレスも、現代人の眠りを妨げる大きな要因です。
私が眠りのたいせつさや快眠のくふう、寝具の選び方などを指導している講座には、20〜70歳代のおもに女性が集います。そこに集まる人たちはほとんどが不眠に悩んでおり、ときには重症のかたのご相談にも個人的に応じることがあります。
驚くのは、重い不眠症のかたの原因はその多くが人間関係の悩みにあるということです。悩みの根本には、自分が「承認されない」ことがあるように思えます。がんばっても夫や他人に認めてもらえない、評価してもらえないために自信が持てず、そのいらだちや不満から不眠に陥るケースが多いのです。
たとえば、ある60歳代の女性は「どうして眠れないのかわからない」ということでした。ところがふだんの生活などじっくりとお話を聞くうちに、お嫁さんが孫を抱かせてくれない不満が、不眠のきっかけだとわかったのです。お嫁さんにたいせつにされない自分、承認されない自分という意識が、知らず知らずのうちに大きなストレスになっていました。
■ ぐっすり眠るには心の平安が必要
そのような場合、ただ「お嫁さんを好きになれ」といっても無理な話です。私はご相談に応じる中で、その女性が自信を持てるところを見つけるようにしました。自覚していなくても、人にはこれまでの人生や生き方の中で、自信を持つべきことがたくさんあります。それを客観的な立場で気づかせてあげ、自信をとり戻してもらったところ、その女性にとってお嫁さんのことは大きな問題ではなくなりました。その結果、徐々に眠れるように改善されたのです。
人間関係の悩みそのものは、すぐさま解決できることではありません。でも、ちょっとものの見方や考え方の角度を変えることができれば、悩みにだけとらわれて身動きのできない状態から脱出できるのではないでしょうか。心の平穏を得られれば、きっと眠りも変わるはずです。