ストレスを制御する「認知」の機能
■ 不安を誘発するストレスホルモン
ストレスを克服する大きなカギとなるのは、物事を“いかに考えるか”、“どのようにとらえるか”、ということです。
しごく当然のように聞こえる発想ですが、これを神経生理学的に分析すると、大脳皮質の「認知」の働きに関係した事象と、とらえられます。
悲観、不眠、食欲不振など、ストレスによって、人の思考や行動には、変調が起きます。このとき脳では、神経細胞の活動に、変化が起きています。
ストレスの身体反応により、脳の情動を司る扁桃(へんとう)体(図1)や、睡眠・覚醒の制御を行う青斑核(図1)に、コルチコトロピン放出因子(図2)という、不安を誘発するストレスホルモンが放出されます。
ホルモンを受けて、細胞は興奮し、不安な感情や、意識の覚醒などの反応が起こります。
■ いかに「大脳皮質での情報の混乱」を収めるかがカギ
こうした活動を制御するのが、人間らしい理知的な思考活動を司る、大脳皮質(図1)です。
たとえば、“悩む”という心の動きは、記憶を元に、大脳皮質が情報処理をしている状態です。
情報の錯綜が続いて、大脳皮質が活動し続ければ、ストレスホルモンも、継続的に放出されます。情報が整理されて活動が収まれば、ホルモンの放出は停止し、不安や不眠などの症状は、解消されます。
いかにして大脳皮質での情報の混乱を収めるか、これこそストレスから解放される、キーポイントです。