乗り越えるのは自分自身
■ なにがストレスになるかは千差万別
冒頭の「山嵐のジレンマ」など、これまでにあげたいくつかの例を、私はストレスだと思わない(ストレッサーではない)と感じられたかたも、いらっしゃることでしょう。それはなぜでしょうか。
これこそ、ストレスの最大の特徴で、なにがストレッサーになるか、どの程度のストレスで心身にアンバランスを生じるかには、非常に個人差があります。
運動が嫌いな人にとっては、運動はストレスですが、好きな人にとってはストレス解消になります。また、適度なストレスは、心身を活性化させてプラスに働きますが、適度の度合いは、千差万別です。
こうした個人差は、遺伝的な要因が大きく、同時に、生育環境にも起因すると多くの学者は考えています。
■ 現実にバランスよく目を向け、対処を考える
ストレスから解放されたいと、多くの人は望みますが、そもそも生きていて、ストレスによる不安や緊張を感じないほうが、おかしいのです。また、そうした緊急反応がないと、生体に不つごうであることは、前述のとおりです。
ストレスを感じる自分を、“弱い”などと否定することはありません。ただ、慢性的にストレスがあって、心身に不調をきたすことは避けるべきでしょう。
そうしたときに、周囲の人や状況をつごうよく操作することはできませんし、なにかを責めていても、解決はせず、ストレスは増すばかりです。
現実的な問題にバランスよく目を向け、どう対処し、どう生き方につなげていくのかを考える、それこそがストレスから解放される、最善の方法です。
また、そうして自己を解放できるのは、ほかでもない、あなた自身なのです。