ハーブサプリメントの使用経験のある10代の児は喫煙、飲酒、薬物使用度高い
過去にハーブサプリメント(栄養補助食品)の使用経験のある10代の児は、性別にかかわらずたばこ、アルコール、違法薬物などの使用傾向の高いことが、米ニューヨーク州北部の高校生を対象にした調査で明らかになった。
米ロチェスター大学(ニューヨーク州)メディカルセンター思春期医療部小児科準教授のSusan Yussman博士らの研究グループは、1999年に高校生約2,000人を対象に実施した調査結果を検討。調査では、ハーブや他の自然製品の使用頻度や使用した際の気分の高揚、運動や学校での活動の向上度などを質問。ハーブ製品にはビタミンやセント・ジョンズ・ワートなどのサプリメントも含まれた。研究報告は、米医学誌「Journal of Adolescent Health」3月23日号に掲載されている。
全体の25%にハーブサプリメントの使用経験があり、経験者は経験のない生徒に比較して、喫煙率が2倍、アルコール摂取率が3倍、違法薬物の使用率が4〜14倍多かった。違法薬物の使用では、LSD、エクスタシーの使用経験は4.4倍、コカインは約6倍、メタンフェタミン(覚醒剤)は約7倍、ヘロインは約9倍、ステロイドは14.5倍であった。
Yussman博士は、質問方法が解釈に影響を与えたことや、欠席が多い学生は除外されていること、ティーンが特異的に使用しているハーブの使用状況や使用理由が不明など、今回の評価には限界があることを指摘。また今回は予備的な研究であり、因果関係を明らかにしたものではないと断っている。
ニューヨーク州立精神医学研究所のAdam Basiga博士は、ハーブサプリメント使用が薬物使用に導くのか、その逆なのかが不明であり、好奇心など別の要因が影響した可能性もあると指摘。エール大学医学部精神医学教授のThomas Kosten博士は、研究の限界はあるものの、ハーブ使用が他の薬物の潜在的な使用のきっかけとなるのかどうか観察する必要があると述べるとともに、ハーブの有する潜在的な毒性や常習性をもたらす成分を明らかにする必要があるとしている。
Yussmah博士は、こうした問題点が明らかになるまでは、医療関係者は、処方薬、市販薬、一般のハーブ製品全ての使用に関する適切な情報を提示し、また親も含めて思春期の若者にはハーブ製品の使用の有無を尋ね、使用しているならばその内容を掘り下げて聞くべきであると述べている。