両親の不仲は子供に長期間悪影響を及ぼす
たとえ深刻ではなくとも、両親の争いは子供の人生に大きな混乱をもたらすことが、米医学誌「Child Development」1/2月号掲載の2つの研究で示された。子供は両親が子供に気づかせまいと「静かに」争っていても苦痛を感じるという。
米オーバーンAuburn大学(アラバマ州)と米ブラウン大学(ロードアイランド州)が行った研究は、8〜9歳の健康な小児54人と、その両親を対象に睡眠についてのインタビュー調査を行ったもの。小児については、体の動きをモニターする腕時計に似た装置を装着し、睡眠パターンが調べられた。
その結果、中程度から深刻な争いのある家庭では、小児の睡眠が毎晩30分、妨げられていることがわかったと、オーバーン大学人間発達・家族学科のMona El-Sheikh教授は述べている。これが翌日いらいらするなど、他の問題の原因にもなりうるという。
もう一方の研究は、米ロチェスター大学(ニューヨーク州)と米ノートルダム大学(インディアナ州)が行ったもので、6歳児223人とその両親について、両親の争いが小児の情緒面にどう影響するかが1年間にわたって追跡調査された。両親が互いに「敵意または無関心」を示すと、小児は情緒面で問題を来しやすいという。
この研究は、子供が両親の争いごとに慣れて時間とともに気が楽になるのか、同じように問題を抱えたままなのかどうかを解明しようとしたもので、後者であることがわかった。研究を行ったロチェスター大学心理学部のPatrick T. Davies教授は「深刻度が高い両親の争いでは子供は慣れることなく、より神経質に、より敏感になる」と述べている。
Davies博士は解決方法として、大きな争いは子供のいないところでするよう努力することだと述べている。El-Sheikh教授は、問題を解決する場面を必ず子供に見せるようにと述べている。