コーヒーが肝硬変リスクを軽減
コーヒーを飲むことで、飲酒による肝疾患を予防できる可能性があるという。米国の非営利医療保険組織Kaiser Permanenteの研究グループによるこの報告は、米医学誌「Archives of Internal Medicine」6月12日号に掲載された。しかし、研究を率いたKlatsky博士は、肝疾患は大量飲酒に起因する多数の問題の一つにすぎず、あくまでも飲酒は控えるべきだと述べている。
研究グループは、1978〜1985年の検査時に肝疾患が認められず、アルコール、茶、コーヒーの消費量に関する情報を得られた被験者12万5,000例余りのデータを分析した。2001年の終わりまでに330例が肝硬変を発症し、199例がアルコールに起因するものであった。1日1杯コーヒーを飲んでいた集団は、アルコールによる肝硬変の発症率が22%少なかったという。
米Social and Scientific Systems社のConstance E. Ruhl博士は、今回の結果に意外性はないと述べる。Ruhl氏は、肝疾患リスクの高い集団のうち、コーヒーを飲む人は肝硬変で入院する比率が半分であるという論文を、昨年(2005年)専門誌に発表している。「今回の研究は、肝硬変の原因別にコーヒーとの関連性を検証した点と、より大規模である点が新しい」とRuhl氏は指摘している。
コーヒーが肝臓を保護する機序については、「現時点では推測の域を出ない」とRuhl氏は述べている。カフェインによって腎臓の炎症を予防する物質アデノシンの産生が誘発されるという報告があり、これが肝疾患についての説明となる可能性もある。「次のステップは、コーヒーと肝疾患との関係に着目した臨床試験を実施すること。また、コーヒーのどの成分が肝臓に直接的な作用をもたらすかがわかっていないため、実験室での研究も必要」とRuhl氏は述べている。