新しい高周波エネルギーを用いた治療法で喘息症状を緩和
炎症による気道狭窄を軽減するようにデザインされた気管支熱形成術(bronchial thermoplasty)と呼ばれる新しい治療法が、喘息患者に恩恵をもたらすことが、カナダの研究で明らかにされた。新しい手技により、喘息患者の最大呼気流量(PEF)、気道反応性、無症状日数などの改善効果が得られるという。
気管支熱形成術は、気管支鏡を通じて、高周波熱エネルギーを直接気道に照射する。高周波エネルギーは気道組織を約65℃まで熱するが、この温度は気道平滑筋の肥厚を軽減させるには十分だが、組織の破壊や傷を生じさせない。患者一人当たり、両肺に通じる気道を治療するために分割した3セッションの処置が必要で、処置時間は30分。
平均年齢39歳の男性6人、女性10人を対象に2年間にわたって実施された研究では、研究開始時に気管支熱形成術を施行。治療後、最初の12週間で、患者で無症状日数、朝夕の最大呼気量の有意な改善効果が見られた。
研究著者のカナダ、マクマスター大学Firestone Institute for Respiratory HealthのGerard Cox氏は「副作用は一過性で、気管支鏡検査で通常見られるものが多い。すべての症例で、気道反応性の改善が認められた」という。研究グループは、気管支熱形成術の長期安全性を確認するため、5年の追跡研究を計画している。
研究は、米医学誌「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」5月1日号掲載された。オランダ、ライデン大学メディカルセンター(LUMC)のElizabeth H. Bel博士は同誌の論説で、「気管支熱形成術が喘息治療で地位を得るか否かはさらに検討が必要だが、難治性喘息患者にとっては真の突破口となる可能性がある」と述べている。