ラロキシフェンにタモキシフェンと同等の乳癌予防効果
骨粗鬆(しょう)症の治療および予防に用いられるラロキシフェンが、浸潤性乳癌(がん)において、抗癌薬タモキシフェンと同等のリスク低減効果をもつことが、STAR(Study of Tamoxifen and Raloxifene)試験の最新の結果により明らかになり、アトランタで開催された米国癌治療学会(ASCO)年次集会で発表された。タモキシフェンは過去30年間効果を示してきているが、顔面紅潮(ほてり)、膣乾燥、性欲低下、吐き気などの副作用のため使用がためらわれることも多く、乳癌予防の新たな選択肢としてラロキシフェンに期待が寄せられている。
STAR試験では、乳癌リスクの高い閉経後の女性2万人がランダム(無作為)に割り付けられ、タモキシフェン20mg/日またはラロキシフェン60mg/日のいずれかが5年間投与された。いずれも乳癌リスクは1,000人につき8人から4人へと約50%の減少がみられた。しかし、非浸潤性乳癌の予防についてはタモキシフェンの方に優れた効果が認められた。子宮癌、血液凝固および白内障はタモキシフェン群の方に多くみられ、その他の癌、心疾患、脳卒中、骨折および骨壊死については有意差は認められなかった。
性的機能の低下は、特に若い女性ではタモキシフェン群の方がわずかに大きかった。筋骨格系疼痛、体重増加および性交時疼痛についてはタモキシフェンの方が優れた効果があり、血管運動症状、脚の痙攣(けいれん)、婦人科症状ではラロキシフェンの方が優れていたという。