喫煙者の慢性の咳(せき)はCOPDの兆候
慢性の咳(せき)や痰(たん)の人は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症リスクが極めて高いことが、イタリアの研究で明らかにされた。慢性気管支炎と気腫の合併であるCOPDは、米国の死因の第4位で、喫煙が主な原因となっている。
イタリア、San Matteo病院呼吸器疾患科のIsa Cerveri氏らは、COPDの予測因子を探るため、研究開始時に肺機能が正常な20〜44歳の5,000人を10年間追跡調査した。被験者は、研究開始時と終了時に肺機能検査と血液検査を受け、年齢、性別、学歴、喫煙習慣、呼吸困難、慢性の咳や痰などの因子とCOPDリスクの関連性が検討された。
米医学誌「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」1月1日号掲載の同研究によると、被験者のうち、研究期間中にCOPDと診断されたのは123人だった。また、慢性の咳や痰を発症した被験者のCOPD発症リスクは他の人より4倍高かった。Cerveri氏は「研究結果は、慢性の咳や痰は、気道閉塞の早期マーカー(標識)になることを示している」と述べている。
同研究はまた、COPD予防に禁煙が重要であることも強調。被験者全体の喫煙率は55%だったが、COPD発症者123人では77%だった。研究の論説で、デンマーク、 Hvidovre 大学病院のJorgen Vestbo氏は「今回の研究は、いわゆる「喫煙者の15%がCOPDを発症する」というメッセージは間違いで、発症リスクは極めて高く、35〜50%にもなることを示した」と述べている。