レモネードが腎臓結石を軽減
激痛を伴う腎臓結石が、レモネードを飲むことで防げるとする2件の研究結果が、先ごろアトランタで開催された米国泌尿器科学会(AUA)年次集会で発表された。腎臓結石は、尿中のミネラルが結晶化し、腎臓内で蓄積することで発生する疾患。ほとんどの人には結晶の蓄積を防ぐ化学物質(尿中クエン酸塩)が備わっているが、結石を発症しやすい人ではそれが機能していない。
1件目の研究で米ウィスコンシン大学医学部・公衆衛生学部外科のKristina Penniston氏らは、シュウ酸カルシウム結石の治療にレモネード療法を処方された患者100人の医療記録を検討した。調査対象の3分の2が約120mLの純粋なレモン汁(2.5Lの飲料に混ぜて)か、市販のレモネード約950mLを毎日摂取した。残りの患者は、レモネード療法と、クエン酸カリウム(尿の中和を維持させる薬剤)治療を併用した。
平均40カ月の治療後、両群で尿中クエン酸塩量と尿量が増加したが、尿量の増加はレモネード治療群でのみ著しかった。腎臓結石を発症しやすい患者が水分を多量に摂取して尿量を増加させると、結石生成を抑える助けになるという。
もう1件は、米デューク大学(ノースカロライナ州)の研究で、中等度〜軽度の低クエン酸塩症(尿中クエン酸塩の産生レベルが低くなる状態)の患者12人が毎日120mLのレモン汁を2Lの水に加えて摂取した。その結果、12人中11人で尿中クエン酸塩値が上昇し、結石のサイズと数が減少した。
ただし、クエン酸カリウム治療が不可能な患者にとって、レモネード療法が代替になるかどうかは、さらに多くの研究が必要だと2件の研究者は指摘している。
米Brigham and Women’s Hospital(ボストン)のEric N. Tailor博士は「どちらの研究も尿中クエン酸塩値が低い、かなり特異な患者を対象としている。全員にレモネードを勧めているわけではない。治療で使用された種類のレモネードは、糖分やカロリーの摂取量を増加させる」とし、「ジュースではなく、重要なのは本物の果汁を摂取するということである」と助言している。