スタチンは重度糖尿病患者には有害
スタチンと呼ばれるコレステロール低下薬が、重度の2型糖尿病患者に悪影響を及ぼし、場合によっては致死性の脳卒中をもたらす可能性のあることが、医学誌「New England Journal of Medicine」7月21日号に掲載された新たな研究で明らかにされた。
この臨床試験は、リピドール(一般名:アトルバスタチン)の製薬メーカーであるファイザー社が資金提供し実施したもの。これまで、スタチンは2型糖尿病患者の心血管イベント(事象)を軽減することが認められているが、血液透析を受けている2型糖尿病患者での有用性に関しては検討されていなかった。
欧州の2型糖尿病患者1,255例を対象に検討した臨床試験では、リピドール投与群619例のうち27例で致死性の脳卒中がみられたのに対し、プラセボ(偽薬)投与群636例では13例と、リピドール投与群で2倍の致死性脳卒中の発症例が認められた。
AP通信によれば、米ジョスリン糖尿病センター(ボストン)腎臓疾患部部長のRobert Stanton博士は、1件の臨床試験結果のみで、このグループの糖尿病患者に対し、リピドールなどのスタチン製剤の使用を制限する理由とはならないと述べている。同博士は今回の臨床試験には参加していない。
リピドールは世界中で最も処方頻度が高いスタチン製剤である。