わずかな体重増でも胃食道逆流性疾患リスクを上昇
胃食道逆流性疾患(GERD)には、たとえ過体重でなくても肥満指数であるボディーマス・インデックス(BMI)が直接関与していることが、米医学誌「New England Journal of Medicine」6月1日号掲載の研究で明らかにされた。GERDは胃と食道間の弁が正常に閉じないことで生じる疾患で、胃酸を含む胃の内容物が食道へ逆流してびらんを起こし、食道癌(がん)につながる事例もある。
過体重や肥満がGERDのリスクを高めることはすでに知られているが、BMIとGERDとの関連性は不明であった。米ボストン大学(マサチューセッツ州)医学部助教授のBrian Jacobson博士らは、Nurses’ Health Studyに参加している女性から対象者を無作為に抽出し、GERD症状の頻度、重症度、継続性などを質問。対象者はBMIで分類された後、症状の情報との相互参照が行われた。
調査を完了した1万545人のうち2,310人(22%)が、少なくとも1週間に1度はGERDの症状を経験しており、3,419人(症状経験者の55%)が症状は中等度と報告した。BMIが20未満の女性は、20〜22.4の人に比較して症状経験は33%少なく、また逆に、22.5〜24.9の人では38%多かった。BMI25以上が過体重とされる。調査開始時に正常値だった女性でも、BMIが3.5以上上昇するとGERD発症リスクも上昇した。
Jacobson博士は「BMI値の上昇率が高ければ高いほど高リスクになる極端な線形(リニア)傾向が認められた。もし症状を経験しても、理想体重に留まっているなら「不健康な」低体重にする必要はないが、ここ数年の間に数キロ増加し、複数の症状が出るか、または悪化しているようであれば減量を検討すべきである」と述べる。
また、過剰な体重は、心疾患、癌(がん)、糖尿病などその他の病気の温床にもなりかねない。米レノックスヒル病院(ニューヨーク)胃腸病専門医のAnthony A. Starpoli博士は「チリチリする胸焼けや逆流は生活の質(QOL)に直接影響するため。患者には、癌、糖尿病、心疾患など、他の問題を避けるためにも減量努力は役立つことを教えるべきである」と述べている。