健康的な食生活と運動が前立腺癌(がん)の進行を抑制
食生活と生活習慣が早期前立腺癌(がん)の進行を止め、改善さえしうるという研究が、米医学誌「Journal of Urology」9月号に掲載された。この研究は、すべての癌の中で、生活習慣の変化が癌の進展に影響を与えることを示した最初のランダム(無作為)化対照試験である。
著者の一人で、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のPeter Carroll博士は「食生活および生活習慣が、前立腺癌の予防と治療にどういう役割を持つかを初めて明確に示したもので、前立腺癌患者および前立腺癌を予防したいと考える全男性に重要な情報を提供する」と述べている。
この研究は、前立腺癌患者93名を対象としたもので、被験者は2群に割り付けけられた。一方の群は食生活・生活習慣を大きく変化させるもので、被験者は果物や野菜、全粒粉、豆類、大豆・ビタミン・ミネラル等のサプリメントを摂る完全菜食主義の食生活にし、さらに軽い有酸素運動やヨガ・瞑想、週に1回のグループセッションに参加した。
もう一方の群では、食生活・生活習慣は大きく変えなかった。1年後、前立腺癌マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)の血中濃度が食生活・生活習慣変化群では減少していたが、無変化群では増加していた。さらに食生活・生活習慣変化群の被験者の血液は、実験室レベルで前立腺癌の増殖を70%抑えるという結果も得られたが、無変化群の被験者の血液では9%にとどまった。食生活・生活習慣変化群は、生活の質も著しく向上したと報告している。