小児のいびきは多動発症の予測因子
いびきをかく小児はそうでない小児と比べて、注意力や多動(活動過剰)に関する問題を来す可能性がはるかに高いことが知られている。米ミシガン大学睡眠障害センター所長のRonald D. Chervin博士は「両者の関係はきわめて強く、因果関係があると言える」とした上で、いびきや他の睡眠障害は将来的な多動の発症あるいは悪化を占う強い危険因子となるとの見解を示した。
ミシガン大学およびワシントン大学の研究者らは、4年前に実施した小児科領域の調査対象とした866例から、現在6〜17歳の小児229例を抽出し評価した。このうち、多動であると考えられたのは30例であった。4年前の調査でいびきが日常的に認められた小児は、今回の調査までに多動を来していた確率が約4倍であった。さらに、4年前の調査時での、いびきの習慣や大きないびき、眠気または睡眠を損なう呼吸の有無によって多動が予測されることがわかった。
ただし、どのようにしていびきが多動を引き起こすかについてはまだ明らかではない。ジョンズ・ホプキンズ大学小児センター小児睡眠障害プログラムのAnn Halbower博士は「証拠はまだ得られていないが、少なくともいびきと多動との間に因果関係が強く示唆される」とした上で、何らかの基礎疾患によっていびきと多動の両者が生じるということも考えられると指摘する。
いびきは、学校生活に支障を来すなどさまざまな問題との関係が明らかにされている。Chervin博士は、保護者が睡眠の問題を深刻に受け止め、症状の詳細を知るため小児専門医を受診するよう勧めている。現在、いびきの治療として最も頻繁に実施されるのは扁桃(へんとう)およびアデノイドの切除である。