サリドマイドが骨髄腫治療薬として米国で承認
多数の先天性欠損症を引き起こし1962年に使用が禁じられた薬剤サリドマイドが、骨髄腫の治療薬として米食品医薬品局(FDA)により承認された。
サリドマイドは、新たに多発性骨髄腫と診断された患者に使用することができる。多発性骨髄腫は、感染症を抑制する上で重要な役割を担う骨髄細胞が侵される疾患。AP通信によると、サリドマイドは骨髄腫の標準的な化学療法であるデキサメタゾンと併用して用いられることになるという。
多発性骨髄腫治療におけるサリドマイドの有効性を評価した研究は、結論の一致をみていない。3月に報告されたある研究では、サリドマイドによる延命効果は認められないと結論付けている。同時期に報告された別の研究では、サリドマイドにより高齢患者の生存期間に延長がみられたものの、重篤な副作用が生じたとしている。
1998年にFDAはハンセン病治療薬としてサリドマイドを承認している。今回の承認以前にも、サリドマイドは多発性骨髄腫の治療にいわゆる「適応外」使用の形で広く処方されていた。FDAは現在、サリドマイドのラベル表示に先天性欠損症のリスクに関する厳重な警告を入れることを義務付けている。また、サリドマイドとデキサメタゾンを併用する骨髄腫患者での脚および肺の血栓症リスクに関する警告も表示される予定だとAP通信は報じている。