角膜感染症患者の30%に移植手術が必要
重篤な角膜感染症(真菌性角膜炎)であるフザリウム性角膜炎を来した米国の患者120例のうち、31%にあたる37例が角膜移植を要していたことが米疾病管理予防センター(CDC)の調査で明らかになり、米当局により報告された。この角膜感染症は、ボシュロム社製コンタクトレンズケア溶剤の使用との関連が疑われている。
この比率は今後さらに上昇し、50%に達すると見込まれている。米ニューヨーク大学医学部眼科臨床准教授Robert Cykiert博士によると、真菌感染症と診断した場合、まずは点眼薬や経口薬による治療を試み、効果がみられない患者や瘢痕化を来した患者では最終的に移植が必要で、時間とともに移植を要する患者の比率が高くなるという。
AP通信によると、米国では約3,000万人がコンタクトレンズを使用しており、約230万人がボシュロム社製レンズケア溶剤ReNu with MoistureLoc(レニューモイスチャーロック、日本国内では未発売)を使用していたという。ボシュロム社は5月15日に、同製品を市場から回収している。ボシュロム社のレンズケア溶剤としてこのほかにレニューマルチプラス(日本国内で発売)、ReNu Multi-Purpose、およびさまざまなジェネリック製品がある。レニューマルチプラスとReNu Multi-Purposeの2製品については問題ないと考えられているが、例えばウォルマート(WalMart)向けになどに製造されたジェネリック製品については不明である。
CDCの発行する「Morbidity and Mortality Weekly Report」5月26日号によれば、フザリウム性角膜炎の診断が確定した患者130例のうち125例がコンタクトレンズを使用しており、そのほとんどがMoistureLocを単独で使用するか、ほかの製品と併用していた。詳しい因果関係は不明であるが、調査が続いているという。問題の製品がまだ家にある人は、すぐに使用を止めて処分するよう専門家は呼びかけている。