コンタクトレンズケア製品で重篤な角膜感染症の疑い
米食品医薬品局(FDA)および米疾病管理予防センター(CDC)は、ソフトコンタクトレンズ使用者は重篤な角膜感染症(真菌性角膜炎)を起こすリスクがあるとの警告を発した。
米国では約3,500万人がコンタクトレンズを使用、うち2,500〜2,600万人がソフトレンズ使用者だが、米ニューヨーク大学医学部眼科臨床准教授Robert Cykiert博士によると、ソフトレンズを利用している人は誰でもこの種の感染症のリスクがあるという。
この感染症の原因となるのは、フザリウムという真菌の一種。4月9日現在、米国で109例の患者にフザリウム性角膜炎の疑いがあり、症例が急増しているという。ソフトレンズのケア製品(溶剤)では、ボシュロム社製のReNu with MoistureLoc(レニューモイスチャーロック、日本国内では未発売)が人気で、この製品を使用している人は多いと思われるが、真菌性角膜炎と確認された30例のうち、26例がこの製品または同社の製造するノーブランド品を使用していた。ボシュロム社は当該製品の出荷を停止したが、店頭からは回収されていない。
Cykiert氏によると、この角膜感染症は極めて重篤で、治療には数週間から数カ月を要し、角膜移植が必要になることも多い。アジアでも2005年11月以降、コンタクトレンズ利用者での感染が報告されている。
今回の調査では、ReNu製品が原因であるとの確証は得られていないが、専門家らはこの製品の利用を止め、コンタクトレンズの適切な衛生管理を行うよう下記の項目を助言している:
・目に痛みがあるときはレンズを装着しない。
・レンズに触れる前に石鹸で手を洗い、糸くずが付かない方法で乾かす。
・装着および交換は医師の処方に従う。
・医師や溶剤製造元の指示どおりにレンズの洗浄や保存を行う。
・ケースを清潔に保ち3〜6カ月ごとに交換する。
・レンズを装着したまま就寝しない(たとえ「つけたまま寝られる」とうたっているレンズであっても)。
・洗浄と保存の両方に使える多目的溶剤を使用しない。
・溶剤不要の使い捨てレンズについて医師に相談する。
・目の赤み、痛み、流涙、羞明感(光をまぶしく感じる)、かすみ目、目やに、腫れなどの症状があったら、レンズの使用を中止し速やかに医師に相談する。
フザリウム性角膜炎は、治療せずに放置すると、真菌が角膜の奥に入り込み、回復の見込みが大幅に損なわれる。診断が早ければ、恐ろしい合併症を防ぐことができるという。