高齢になるに従い精子のDNA損傷が増加
高齢男性の精子は、若年男性の精子に比較してDNAの損傷が激しく、子供を持つ可能性が低下することがカナダの研究で明らかになった。この研究結果は、先ごろコペンハーゲンで開かれた欧州ヒト生殖学会議(ESHRE)で報告された。
被験者2,100人を対象とした研究で、45歳を超える男性の精子DNAの損傷が、それ以下の年齢グループに比較して有意に高く、また30歳未満の男性との比較ではDNA損傷は2倍であった。
マウント・サイナイ病院(カナダ・トロント)の研究者、Sergey Moskovtsev博士は、第一子出産時の男女双方の平均年齢が高くなる社会状況を考慮すれば、この調査結果は特に重要だと指摘する。「高齢の男性は、高齢の女性との間に子供を持つ傾向にある。このため、女性の不妊因子の増加、精子DNAの損傷の増加、DNA修復レベルの低下、高齢男性グループにおける標準精液パラメータ内の異常の増加が組み合わさり、生殖能力に大きな影響を与える」と述べる。
さらに同氏は「生殖補助医療で用いる、DNA損傷のない精子を同定して選別する技術開発の可能性について研究する必要がある」としている。