体外式除細動器の5台に1台が作動不全
心臓発作を起こした患者の緊急救命措置用に公共施設などに設置されている自動体外式除細動器(AED)の5台に1台が、作動不全のために回収されていたことが明らかになった。米国食品医薬品局(FDA)の10年間の記録に基づくデータを研究した結果で、ボストンで開催された米国不整脈学会(HRS)年次集会で報告された。
米Beth Israel Deaconessメディカルセンター(BIDMC、マサチューセッツ州)のWilliam H. Maisel博士によると、AEDは、自動的に心拍リズムを分析し、音声指示を出し、ショックを与える装置で、最小限の訓練または経験があれば使用できることから、近年急速に設置数が増えてきている。しかし、残念ながらAEDの使用が増えるとともに回収される数も増加しているという。
1996年から2005年のAED普及数は年間約2万台から20万台へとほぼ10倍に増えた。この期間に、AEDの本体または重要な付属品に関するFDA勧告が52回発表されており、これは計38万5,922台のAEDに影響していた。勧告の理由は、電気的な問題およびソフトウェアの問題が最も多かったという。心停止患者の蘇生を行なっている間に起きた作動不全も、確認されているだけで370件あることがわかった。
Maisel氏は「AEDの作動不全は、この機器によって救われた命の数に比べれば小さなもの。ただし、AEDの普及数は急速に増え続けているため、タイムリーに欠陥を見つけて修理するシステムを開発する努力が必要」と述べている。別の研究では、体内式(植え込み型)除細動器による合併症も報告されており、このタイプの回収数も相当な数に上っている。