血圧のコントロールには併用療法がベスト
高血圧症患者は、異なるタイプの降圧薬の併用で、よりよく目標血圧値に達することが可能であり、またコレステロール値を低下させることにより心臓発作や脳卒中のさらなる予防効果の得られることが、先ごろニューヨークで開かれた米国高血圧学会(ASH)で発表された3つの研究で明らかになった。
まず、米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)心血管疾患予防センター長のPaul M. Ridker博士はVal-MARC治験の結果を報告。重度高血圧症患者1,668人を、アンジオテンシン-II受容体拮抗薬バルサルタン単独投与群と利尿薬との併用群に割り付け、比較検討。治療開始6週後において併用群で平均25 mmHg の血圧低下を見たのに対し、単独群では18mmHg の低下であった。
同治験では、降圧作用と心臓発作のリスクを増大させる炎症マーカーであるC反応性蛋白(CRP)値の低下との関連性も検討されたが、バルサルタン単独投与群でのみCRP値の低下が認められた。
2番目は、高血圧症を併発した糖尿病患者におけるカルシウム拮抗薬アムロジピンの治療効果を検討したADHT治験の成績。高血圧症を併発した糖尿病患者411人を、アムロジピンにアンジオテンシン-II受容体拮抗薬ロサルタンあるいはACE阻害薬quinaprilの併用投与群か、またはアムロジピン+プラセボ(偽薬)のいずれかの投与群に割り付け、治療効果を検討した。その結果、高血圧症の重症度にかかわらず、併用療法群では27.5%と、単独群の12.5%に比べてより多くの患者が目標血圧値に達した。
報告者で米Orange County Heart Institute and Research Center(カリフォルニア州)のJoel Neutel博士は「研究は、血圧管理における併用療法の重要性を追認している。より多くの糖尿病患者を目標血圧値に到達させるためには、4〜5種類の薬剤の併用が必要」と述べている
3番目の研究では、冠動脈疾患患者において血圧とコレステロールの低下が、心臓発作と脳卒中の発症率を有意に低減させることが明らかになった。
米Robert Wood Johnson Medical School(ニュージャージー州)医学部長のJohn b. Kostis博士らは、冠動脈疾患患者9,739人のデータを検討、血圧とコレステロール値の低下に伴い、心臓発作や脳卒中の発生率が11.1%から7.1%に低下することを明らかにした。
Kpstis博士は「コレステロール値、血圧値ともに最も低い患者では、心血管系事象(イベント)の発生率が最も低く、双方を効果的に管理することが良い結果をもたらす」と述べている。