尿失禁を診断する簡便な3つの質問
女性の尿失禁の診断にあたり、時間がかかり、やっかいかつ侵襲性で、費用のかかる検査ではなく、医師が患者に3つの簡単な質問をすることで十分事足りることが、米医学誌「Annals of Internal Medicine」5月15日号掲載の研究で明らかにされた。
尿失禁は女性でより一般的であり、40歳以上の女性の35%が該当するといわれる。治療は、切迫尿失禁(尿意を催して数分以上排尿を我慢できない)では薬物療法、腹圧性尿失禁(腹部の圧力が増して尿が少量漏れる)では筋肉運動あるいは手術が行われる。
研究者は、多くの症例において、基礎的な診断を行うために下記の3つの質問に対する患者の回答を得る必要がある:
・過去3カ月以内に、少量でも尿漏れを起こしたことがあるか?
・過去3カ月の間にいつ尿漏れを起こしたか:咳(せき)やくしゃみ、物を持ち上げる、運動するなど体を動かしたときか;尿意を催したときにトイレに間に合わなかったか;あるいは身体活動や尿意がなく尿漏れを起こしたか?
・過去3カ月の間に最も多く尿漏れが発生したのはいつか:咳やくしゃみ、物を持ち上げる、運動するなど体を動かしたときか;尿意を催したときにトイレが間に合わなかったときか;体を動かしたときと尿意を催したときが同じくらいか?
研究著者で、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)女性失禁センター婦人泌尿器科医のJeanette S. Brown博士は「最近は複雑で非実践的な診察が多く、尿失禁の質問すらしない医師も多いが、泌尿器科医や婦人泌尿器科医のほとんどは患者の様子から尿失禁の診断をすることが可能だ」という。同博士らは、米国内5施設に通院する40歳以上の女性301人を対象に調査を行った。
全米尿失禁協会(NAFC)のメンバーで泌尿器学・内分泌学コンサルタントのJean Fourcroy博士は「現在尿漏れがあり、それが気になるか?」という質問も重要で、尿失禁が原因で生活や行動を変える必要があるなら、治療時期だと述べている。