子供のスポーツ競技に熱を入れ過ぎの親
子供のスポーツ競技で外野やサイドラインに陣取る熱心な親は、子供の運動能力の進歩に口出しすることが多いが、残念ながらその全てが子供に良い影響を与えているわけではないことが、米国の研究で明らかにされた。
研究著者で米ミシガン州立大学Institute for the Study of Youth SportsのDaniel Gould氏は「活発な親の元には活発な子供が育つようだが、勝つことにのみ注目するという落とし穴に陥りやすい」という。息子のホッケーの練習で他の子供の父親を口論の末に殴り殺した父親の例もある。同氏は「ただし、優秀なアスリートの子供時代には親が深くかかわっており、矛盾を来たしている」と述べている。
この矛盾を理解するため、米テニス協会(USTA)スポーツ科学委員会出資の研究が行われた。医学誌「British Journal of Sports Medicine」最新号には、3段階からなる同プロジェクトの第2段階の結果が掲載されている。
研究は、平均17年の経験を持つプロのジュニアテニスコーチ132人を対象に行われ、子供のテニス能力の発達における親が与える影響が評価された。コーチらは、親の半数以上(59%)が、移動手段の提供、金銭的、社会的・精神的サポートなど、子供に良い影響を与えたが、一方で36%の親が、勝ちにこだわる、子供を非難する、非現実的な期待をかけるなどマイナスの影響を与えたと回答した。
スポース心理学者でハイパフォーマンス・アソシエイツ(ニューヨーク州)のFohathan f. Katz氏は「子供は親の感情や考えをかなり重く受け取る。非難されすぎると、スポーツをする喜びがしぼむ」と述べている。
Gould氏は、子供の運動能力の発達では、段階によって異なる親のサポートが必要とされるという。最初の段階は、楽しむことと基礎練習。子供はそのスポーツをまず好きにならなければならない。その後にトレーニング、そして優秀な競技者へとつながる。同氏は「本当に上手になるには10年という月日が必要なのだから、まずは好きになることが重要」と述べている。