動脈壁のコレステロール斑が破綻する過程が明らかに
健康に及ぼすコレステロールの危険性の詳細が、医学誌「Clinical Cardiology」9月号掲載の新たな研究で明らかにされた。米ミシガン州立大学の研究者らによれば、動脈壁に蓄積し、プラーク(斑)を形成したコレステロールが結晶化して固体となり、それが拡がって破裂すると、物質が血流内に放出される。
同大医学部教授で循環器科部長のGeorge Abela氏は、こうした一連の事象(イベント)が、体内に備わる血液凝固のプロセスを開始させるきっかけとなり、本質的に動脈を閉塞させることになるという。
Abela氏は、コレステロールの結晶化を、プラスチックの容器に入れた水を冷凍した場合に例えて、水が凍ると体積が増して容器を押し広げ、場合によっては容器が破損してしまうこともあると説明する。さらに、「この結果は、コレステロール値をコントロールすることの重要性を十分に納得させるものである」との見解を示している。
George Abela氏が行った実験では、シリンダー内に入れたコレステロール顆粒を、室温で溶かして結晶化させたところ、3分超で45%増量。結晶化の過程で生物学的膜を投入すると、鋭角化した結晶体が膜を突き破ることが確認された。同じ現象が、ヒトの動脈壁でも起きていると同氏はみている。