定期的な運動で加齢による有酸素能低下を改善
有酸素能は加齢とともに低下するが、定期的に運動することでその低下を押しとどめ、逆行させることも可能という、高齢者にとってはよくもあり、悪くもある新しい研究が報告された。
医学誌「Circulation」7月26日号に掲載された最新の研究では、男女800人を対象に追跡調査が実施され、加齢とともに有酸素能が確実に低下し、高齢になるほど加速することが明らかになった。低下率は20〜30代の10年で3〜6%、70代になると20%以上になる。また、身体活動の程度にかかわらず女性より男性(40代に8.3%、70代の10年間に23.3%の低下)で大きいことも報告されている。
研究主任で米国立心肺血液研究所(NHLBI)心臓医のJerome L. Fleg博士は「この結果は、自立した生活を過ごす難しさを意味する。ベッドを整えたり、階段を上ったりするだけで有酸素能の75%を使用するとすれば、こうした作業を定期的に行うとかなり疲労することになる」と述べる。さらに、心臓発作や脳卒中に罹患した人は研究対象に含まれておらず、実生活での状況はさらに悪いと予想する。
しかし同博士は、有酸素能の低下は必然ではないという。定期的な運動は有酸素能を15〜25%改善し、それは10〜20歳若返ることに匹敵する。
Lenox Hill病院(ニューヨーク)女性心疾患治療主任のNieca Goldberg博士は「高齢者は、地域のプログラムに参加するなど定期的に運動することで有酸素能を改善できる。複数の研究で改善が見られた」と述べる。これに対し、Fleg博士は「高齢者をその気にさせるプログラムが必要である」と指摘している。