受動喫煙にさらされる乳幼児に肺癌(がん)のリスク
たばこを吸う親は、受動喫煙の形で乳幼児を肺癌(がん)のリスクにさらしていることが、米医学誌「Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention」5月号掲載の研究で明らかになった。研究では、これら乳幼児の尿中には喫煙由来の肺癌の発癌性物質が検出濃度で存在しており、「親は乳幼児の周りで喫煙すべきでないことを示している」と研究者は述べている。
米ミネソタ大学癌センターのStephen S. Hecht氏らが乳幼児144人を対象に行った研究で、受動喫煙に曝露した乳幼児の47%からNNAL (4-(methylnitrosamino)-1-(3-pyridyl)-1-butanol)と呼ばれる発癌性の化学物質が検出された。今回検出されたNNAL値は、他の受動喫煙(環境喫煙)の研究で小児や成人から検出されたどの値よりも高かく、Hecht氏は「成人、小児、乳幼児を問わず、たばこの煙に曝露した人以外にNNALが尿中に認められることはない」という。
Hecht氏は、今回の知見は、こうした乳幼児が成人後、実際に肺癌に罹患しやすいことを示唆しているとの懸念を示す。「特定の個人が確実に癌に罹患するとは言えないが、総合的に見れば、受動喫煙が肺癌の原因となることは明らかだ」と述べている。
米国癌協会(ACS)疫学・監査調査統括責任者のMichael Thun博士は、たばこの煙が乳幼児の呼吸器疾患を増加させるのは周知の事実であり、中耳感染も増加させる。煙には50種の発癌性物質と2,000以上の化学物質が含まれており、乳幼児や小児に良いことはない」という。
Thun博士はまた、「妊娠は、母親にも父親にも禁煙の良いきっかけになるが、多くの女性は再び喫煙生活に戻る。自分の子供を発癌性物質にさらしているという知識があれば、再喫煙をやめる別の動機になるだろう」と述べている。