厳しい夫婦関係は冠動脈の硬化度高める
夫が攻撃的になると妻の冠動脈が硬化し、夫婦のどちらかが支配権を得ようとすると夫の冠動脈の硬化度が高まることが、米ユタ大学の研究で明らかにされた。
デンバーで開かれた米国精神身体医学会(APS)で発表された同研究では、健康な150組の夫婦(60歳代中心)が、結婚生活で問題となった話題で6分間会話し、様子を録画した。同大心理学部のTim Smith教授は「サンプリング中の言動は、日常行動を反映する」と述べている。会話は、友好的か敵対的か、服従的か支配的かで符号化され、参加者は2日後に胸部CTスキャンによる冠動脈の石灰化度の測定を受けた。
体重、コレステロールレベル、性格など、従来から知られているリスクファクター(危険因子)を排除して得られた検討結果は、「夫婦関係の質」が関与するというものだった。同教授は「女性は友好的か敵対的かに注目し、限度を超えることに敏感だ。男性は支配力の問題に関心がある」と述べている。
こうした研究は慎重に検討すべきで、補足データが必要だが、米聖ルカ・ルーズベルト病院(ニューヨーク州)精神皮膚医学部長で精神分析医のMatthew Silvan氏は「かつては別個のものと思われていた心と身体が、互いに影響しあうものであるという認識は高まってきている。疾患をより詳細に研究することにより、より総合的なアプローチができるようになる」と述べる。
Smith教授は、心臓の健康に最も重要なのは、食事、運動、禁煙だが、人間関係にも注意を払う必要があると述べている。