ただのアガリ症とは違います!社会不安障害
春は出会いの季節。極度の緊張はもしかして…?
逢うは別れのはじめ、桜がほころび始める頃には悲しい別れが待つものの、新たな出会いが待ち受けています。新入学、新入社される方々おめでとうございます。(なぜか校長先生の口調の私)さて新しい環境、初めて出会う友人、胸がときめきますね。「ときめき」だけならいいのですが、それが度を越した「緊張」になり、大事な場面でうまく話せない、自分を表現できない…そんな経験はありませんか?それは、「社会不安障害」と言われる心の病気かもしれません。
元来海外でも、日本人は「シャイ」「自己表現が下手」「何を考えているか判らない」など芳しくない評価も聞きますが、これは良いように言えば「言わずもがな」「以心伝心」「沈黙は金」(これは海外でもいいますね!)「阿吽の呼吸」など素晴らしい日本語にも繋がり、受け取る相手によって全く違うものになりますね。
恥ずかしながら私も「あがり症」。仕事を始めてすぐの頃、大きな学会などで発表する時はとても緊張してしまい、声が上ずり震えていたはずなのですが・・・。いつも先輩の先生方が「ん〜声にビブラートがかかっていて可愛かったな〜」(顔ではないようで・・・)と慰めて下さったりして、どれだけほっとしたことか知れません。また、初めて患者さんを受け持つようになり、緊張のあまり、脇の下に汗染みを作ることも。私のような程度であれば、場数を踏めば、経験がリハビリのようになり、最近は500人くらいの前でもギャグ満載の(?)講演ができるまでになりました。慣れって恐ろしい!
「社会不安障害」に負けないために。
さて、社会不安障害(SADと略します:Social Anxiety Disorder)、最近お薬が使えるようになり、TVのCMでも繰り返され見聞きされた方も多いかと思います。昔から「対人恐怖症」と言われていたものがSADと表現が変わり、自分に自信がない、恥をかきたくない(これは誰でも!)、人の目を気にしてしまう方に多いようです。例えば、@大きなプレゼンの時A社長や役員など自分より目上の人の前で話す時B知らない人の前で自分の成果を発表する時、どなたでも「強い不安」を感じるのはあたり前のこと。こういった状況を目の前にして、手足の震え・大量の汗・動悸・頻尿などで症状が著しく、会議などに出られない、出ても話すことができない、あるいは休んでしまう場合は要注意です。
最近では、薬(SSRI;セトロニンというホルモンを再取り込みする薬)や行動療法(不安を起こす状況を再現してみて上手に乗り越える方法を探す)などによってしのげる事が判ってきました。心当たりのある方は、早めにホームドクターや心療内科に相談されるのもいいでしょう。私の印象からすると、前向きで明るい方が陥るケースが多いようにも思います。決して後ろ向きに考えることなく、春だけにSpring has come!成長の通過点として上手に飛び越えていってほしいと思います。