歩行テストで寿命を予測
高齢者の歩行能力が、将来の健康状態および寿命まで予測する重要な指標となることが新しい研究によってわかった。4分の1マイル(約400メートル)を短時間で歩き切ることができる人は、長生きする確率が高く、心血管疾患および身体障害を来す確率が大幅に低いという。
今回の研究は米国の複数機関によるもので、健康な70〜79歳の被験者約3,000人に対し、6カ月毎に歩行テストを実施し、5年未満の平均を定期的に算定したもの。その結果、歩行速度上位25%のグループに比べ、最下位のグループでは死亡リスクが3倍高かったほか、心疾患、運動制限および障害を生じるリスクも高かった。
「この結果は、単純な動作課題が予測値として有用であることを示している。健康状態をテストする指標を作成するのに役立ち、高齢者の自立を維持する戦略を生み出す第一歩となると思われる」と、研究を行なった米フロリダ大学加齢研究所のMarco Pahor氏は述べている。
現在用いられているのはトレッドミル試験などの有酸素運動による評価方法で、これは歩行に比べ負担が大きく、身体能力の低下した高齢者には適さないとPahor氏は指摘している。今回の研究により、長距離歩行を高齢者の健康状態の基準にできることが裏付けられた。この知見は、米国医師会誌「JAMA」5月3日号に掲載された。
高齢者の健康を維持する鍵の一つは、歩行のような日常的な動作ができなくなることを防ぐ方法を学ぶことだという。「最も効果的だと思われるのは、定期的な運動をさせること。よく運動する人ほど健康で長生きする。今回の研究は、そういった方向への働きかけにつながる一歩でもある」とPahor氏は述べている。