「高血圧前症」でも心疾患のリスク増大
血圧が正常(至摘)血圧よりもわずかに高くても、心臓発作および心血管疾患の発症リスクが増大することが明らかになった。米ニュージャージー医科歯科大学医学部教授のAdnan I. Qureshi博士らが医学誌「Stroke」8月5日号に発表した。
Qureshi博士らは、米国のフラミンガム心臓研究の参加者で、10年の追跡期間中に、正常と高血圧症の中間のカテゴリー(収縮期血圧120〜139mmHg、拡張期血圧80〜89mmHg)に分類された5,000例以上を対象として評価した。高血圧症に分類される程ではないが、至摘レベルをわずかに超える程度血圧が高くても、心臓発作の発症が3倍であり、心疾患は1.7倍を超えることが判明した。
この中間に属する血圧値は、約1年前「高血圧の予防、発見、評価および治療に関する米国合同委員会(JNC 7)」で新たに分類された「高血圧前症(prehypertension)」というカテゴリーに該当する。
ミシシッピ大学医療センター医療政策担当のDaniel Jones博士によれば、高血圧前症に対して注意を払う必要性はこれまでも懸念されてきており、推奨される対処法としては、体重の減量、定期的な運動、禁煙、果物や野菜を中心とした食生活など、ライフスタイルの改善に焦点を当てたものが挙げられるという。
高血圧前症者は米国内で5千5百万例に上ると推計され、Qureshi博士は今回の結果から、「高血圧前症者を積極的に治療すべきかどうかという問題が浮上した」と指摘する。本人自身が高血圧前症とその治療に関して認識を高めることが重要であるという。