太りすぎが胃食道逆流性疾患の症状を助長
体重過多が、胸焼け、酸逆流、胸痛、嚥下(えんげ)困難など胃食道逆流性疾患(GERD)の症状を助長するという研究報告が、医学誌「Annals of Internal Medicine」8月2日号に掲載された。研究著者の米ベイラー医科大学(ヒューストン)内科学助教授のHashem B. El-Serage氏は、研究結果は「健康体重維持の必要性の理由をさらに一つ加えることになる」と述べている。
研究は、過去18年間に行われた9研究の分析結果をもとにメタ分析で実施された。健康体重の人に比較して、過体重(BMI:肥満指数25〜30)の人は1.4倍、肥満(BMI 30〜)の人は2倍、GERD症状発現の可能性が高い。また肥満者では、健康体重の人に対して食道癌(がん)に罹患する確立が3倍近く高かった。
この新しい知見は、米国および西欧で肥満とGERD合併症が着実に増加していることと関連している。米国疾病対策予防センター(CDC)によると、米国成人の3分の2が過体重である。また研究著者は、食道腺癌の罹患率がここ20年で4倍に増加し、米国成人の20%がGERDに罹患していると報告している。
しかし、体重過多がいかにしてGERD症状を増加させるかは不明のままだ。一つの可能性としては、腹部が胃を圧迫して内部に圧力をかけ、それが酸逆流を引き起こすことが考えられる。また、腹部の肥満が、GERDリスクを上昇させる炎症性物質の分泌に働きかける可能性がある。第3の原因として、肥満の人の多くは脂肪や脂質の多い食事を多く摂取し、それがGERDリスクを高めることが考えられる。
El-Serag氏は、研究結果はGERDと随伴する合併症の予防法と治療法を提示していると指摘し、次の重要なステップは、減量によって実際にGERDの症状や合併症が改善されるか否かを調査することだと述べている。