低用量アスピリン、ビタミンEに癌(がん)などの予防効果は期待できず
低用量アスピリンおよびビタミンEは大半の種類の癌(がん)を予防せず、またビタミンEの心血管疾患の予防効果はほとんどないことが、米国医師会誌「JAMA」7月6日号に掲載された米国の「女性の健康調査(WHS)」で明らかになった。しかし、同時に低用量アスピリンに肺癌に対する効果が見込まれること、ビタミンEで心血管に起因する死亡率が僅かに減少することなども報告されている。
45歳以上の健康な医療専門従事者の女性4万人近くを対象としたWHSでは、対象を、ビタミンEまたはプラセボ、アスピリンまたはプラセボのいずれかを摂取するよう無作為に2群に割り付け、10年あまりにわたって追跡調査した。このうち低用量アスピリンで脳卒中リスクが17%減少し、65歳を超える女性では心血管疾患、虚血性脳卒中、心臓発作の発症リスクが減少するという結果は、すでに3月に米国医学誌「New England Journal of Medicine」に報告されている。
今回、研究者らは同じ追跡調査で、ビタミンEは心血管疾患や癌全体には影響を及ぼさないが、65歳以上においては心血管疾患死が26%減少することを確認。また、乳癌、大腸癌、肺癌の発症において、アスピリンとプラセボ群間の統計的有意差は見られなかったが、肺癌において「かろうじて統計的に有意なリスク低下」が見られ、また、高用量アスピリンが癌に有効である可能性も除外できないことが示された。
1999年〜2000年の米国健康栄養調査によると、米国では女性の13.5%が、効果の確証がないにもかかわらず、ビタミンEサプリメントを摂取していた。WHSの主席研究者でBrigham and Women’s Hospital(ボストン)予防医学部門のJulie Buring氏は、今回の研究でビタミンEが無害であることが判明したのは朗報であるが、今後の選択肢の1つとして、特にビタミンEサプリメントの摂取をやめて現実の食事内容を変えることを提案している。