世論調査で癌(がん)に対する多くの誤解の存在が判明
2002年後半に米国で実施された世論調査で、癌(がん)について未だに多くの誤解があることが判明した。癌関連医学誌「Cancer」8月1日号掲載の結果によると、対象となった成人957人のうち約41%が外科的治療で癌が拡大すると考えており、27%が科学者が治癒法を発見しているにもかかわらず、治療による利益獲得を理由に医療業界がこの治癒法の公表を差し控えていると考えていた。
調査では、癌の既往のない成人に、手術や「治癒法の隠匿(いんとく)」のほか、疼痛緩和に用いる鎮痛薬などに関する5つの文章を提示し、その正誤を判断してもらった。その結果、19%は現在の薬剤が癌関連の疼痛に無効であると誤解していた。また「癌克服に必要なものは前向きな態度である」に、回答者の89%が誤りと回答した。唯一現状を正確に反映するものとして、87%を超える人が、「癌には効果的な治療法はない」は誤りとしていた。
研究の筆頭著者で米国癌協会(ACS)のTed Gansler博士によると、所得および教育水準が高くなるにつれて誤解は減っていた。同博士は、調査結果から、誤解は治療決定に影響しかねないため、医師による患者への情報提供はより慎重に行う必要があると指摘。患者は自らの疾患についてできるだけ多くを学び、医師に質問をし、ACS、米国立癌研究所(NCI)などの情報源を気兼ねしないで利用することが重要であるとしている。
米バンダービルト‐イングラム癌センター(ナッシュビル)のRay DuBois博士は、医療企業が患者に対し可及的速やかに新薬および治療法を得られるよう努力しているにもかかわらず、「医療業界による治癒法の隠匿」という誤解の多さに驚いている。今回の調査項目以外にも誤解が存在すると見ており、医師は患者に対し、ACSの無料電話相談以外にも個々の癌センターなどあらゆる質問に答えてくれる情報源のあることを伝える必要性を強調している。