静脈注射時の疼痛を軽減させる新しい軟膏
子供にとって入院とは恐ろしく苦痛な体験である。しかし、新しく開発された局所的麻酔薬クリーム剤を用いると、小児の静脈注射による疼痛が軽減され、注射の成功率が改善されることが、カナダ・トロントの小児病院(Hospital for Sick Children)救急治療部の医師チームによって明らかにされた。カナダ医師会誌6月21日号に発表された。
研究では、静脈注射(カニュレーション)が必要な生後1カ月〜17歳の小児を対象に、liposomal lidocaine(Maxilene)と呼ばれる新しいクリーム剤またはプラセボ(偽薬)クリームを静脈注射の前に皮膚に擦り込ませた。その結果、初回注入が首尾よく実施することができたのはliposomal lidocaine投与群の74%、プラセボ投与群の55%であった。liposomal lidocaineを投与した小児は、静脈注射による疼痛が軽減された。
研究主任のAnna Taddio博士は「局所麻酔薬liposomal lidocaineによって静脈カニュレーションによる疼痛が軽減されただけでなく、この手技を容易に実施することができた」という。トロント大学薬学部助教授のTaddio博士は「この結果に基づいて、カニュレーションにはルーチンに本剤を使用することを推奨する。小児患者の疼痛が軽減し処理が容易になるという有益性が得られるのみならず、患者や保護者、医療従事者にとってもストレスが軽減する」という。
本試験に関わる資金は、カナダのliposomal lidocaine販売製薬会社RGR社の提供を受けた。