患者自身の皮膚から作製した血管の移植に成功
アルゼンチンの外科医らが患者自身の皮膚および静脈の一部を増殖させて血管を作製し、その移植に成功したことが、先ごろ米ダラスで開かれた米国心臓協会(AHA)年次集会で発表された。
AP通信によると、今回、初めてこの新技術を施行したのは腎透析患者2例。最初に施行した患者は56歳の女性で、今年(2005年)5月の移植術施行後、週3回の針穿刺を受けている。開発に取り組んでいる米サンフランシスコのCytograft Tissue Engineering社の科学者らは、この方法が糖尿病患者、心臓バイパス術を受けた患者や心臓に障害がみられる小児にとって、望みを与えるものであることが明らかにされたと述べている。
外層が硬く内層は軟らかいこの血管は、研究室で増殖させ作製するのに6〜9か月間要したが、同社によればこの過程に要する時間は短縮することができるとみている。なお、この技術には幹細胞を用いる必要がなく、倫理的な問題の対象とならない。同社は来年にも、米国食品医薬品局(FDA)に対して米国内における臨床試験実施の許可を申請する意向であるという。