今日から始められる! メタボリックシンドローム予防のコツ
内臓脂肪がたまった「おなかぽっこり」状態は、生活習慣病や突然死の前兆? 注目されているメタボリックシンドロームを予防するため、取り組みやすい生活改善のヒントをご紹介します。
■おなかぽっこりの「ビール腹」は要注意! 心筋こうそくや脳こうそくを起こしやすい
「平成16年の国民健康・栄養調査」によると、60歳以上の男性の50%以上がメタボリックシンドロームまたはその予備軍であることが明らかになっています。メタボリックシンドロームとは、腸や肝臓など内臓の周囲に蓄積した脂肪によって、高脂血症や高血糖、高血圧などの症状が引きおこされた状態のこと。これらの症状が重なっている人は動脈硬化が進行しやすく、心筋こうそくや脳こうそく、狭心症など突然死につながる病気にかかりやすいことがわかってきました。
はかってみよう! へそ周り メタボリックシンドローム危険度チェック
(1)へそ周りが男性で85cm以上、女性で90cm以上
(2)空腹時血糖値110mg/dl以上
(3)中性脂肪150mg/dl以上またはHDLコレステロール40mg/dl未満
(4)血圧が最大130mmHg以上または最小85mmHg以上
※上記のうち(1)のほかに2項目に該当したら危険!
内臓脂肪が増えることによる問題は、おなかがぽっこり出るという「見た目」だけではありません。近年の研究で、内臓脂肪はホルモンのような生理活性物質を作り出す「内分泌器官」であることが判明。内臓脂肪が増えすぎると、脂肪細胞からインスリンの働きを悪くしたり動脈硬化を進行させる悪玉物質が生み出されます。逆に、内臓脂肪を減らすことで、糖や脂肪をスムーズに代謝する善玉物質が増加。内臓脂肪は、健康のカギを握っているといっても過言ではないのですね。
■最大の予防法は「運動」。「食事」も改善して、内臓脂肪を燃やそう
内臓脂肪がたまっているからといって、悲観することはありません。内臓脂肪は「たまりやすく、分解されやすい」という特徴をもっています。つまり、生活改善さえすれば、減らすことが可能。内臓脂肪を減らせば、気になる検査値も改善します。
たまった内臓脂肪を燃焼させるために、最優先で始めたいのは、体を動かすこと。エスカレーターを使うのが当たり前になっているなら、「1日1回はエスカレーターに乗らずに歩く」など自分でルールを決めます。バスは降りる予定の停留所の1つ前で降り、外食をするなら車を使わずに歩くか自転車を使うなど、こまめに体を動かすよう意識することが大切。脂肪の「燃焼工場」である筋肉を効率よく増やすには、ダンベルなどを使った運動もとりいれたいもの。ダンベルを握って手首を内側に締め、腕を左右に開いたり閉じたり、前方や上方に曲げたり伸ばしたり。無理をしないレベルで少しずつ続けてみましょう。
運動と並行して、食事内容も見直しましょう。こんなことから始めてみては?
■食事はうまみ重視。薄味で満足できる舌に
濃い味付けは、塩、砂糖のとりすぎのもと。塩の過剰摂取は高血圧、砂糖は高血糖を引きおこすうえ、ご飯が進んで食べ過ぎる原因にもなります。だしのうまみ、酢、スパイスを生かして、自分の舌を薄味に慣らしていきましょう。
■よくかむと、満腹感アップ
テレビや新聞を見ながらの「ながら食べ」をやめ、よくかみ、味わいましょう。かむ回数を増やすと脳内の満腹中枢が活性化し、満腹感が高まります。
■小ぶりの器に替えてみる
器の大きさを小さくすると、食事の量を無理なく減らせます。お茶わんなど、ふだんよく使う食器を買い替えてみましょう。
■ビールのかわりに「濃いめの緑茶」を
緑茶の渋みのもと「カテキン」には、内臓脂肪を減少させる働きがあります。緑茶は茶葉を多めにして濃いめにいれ、カテキンをたっぷりとる工夫を。