“ママ”が若いと子どもは長生き
長寿の人は、母親が若いときに産んだ子である確率が高いという研究結果が、ロサンゼルスで開かれた米国人口学会(PAA)年次集会で発表された。25歳以下の母親から生まれた人は、年齢の高い母親から生まれた人に比べ100歳以上まで生きる確率が2倍であるという。
米シカゴ大学加齢センターのLeonid Gavrilov氏とその夫人で共同研究者のNatalia Gavrilova氏は、家族で最初に生まれた子どもは100歳以上まで生きる確率が大幅に高いことを3年前につきとめ、その理由の解明に取り組んだ。全米から抽出した100歳以上の198例を対象に、この「第一子効果」を説明すべくデータの分析を行った。
病気をうつす兄や姉がいないことや、父親が若くて壮健であることが影響しているとも考えられたが、統計解析の結果いずれも否定され、「第一子効果」は出生時の母親の若さによるものであることが明らかになった。この説明として、最初の生殖では最も質の高い卵子が用いられるため、若い母親だと子どもの健康を長期的に害するような慢性感染症にかかっていないため、という理由も考えられるが、現時点ではいずれも仮説にすぎない。
では、母親の初産年齢が30代や40代であることも多い現代の子どもの寿命はどうなのか。母親の出産年齢が高くても、食生活や医療の向上により長寿者は確実に増えており、現代の子供が100歳以上生きる見込みは曽祖父たちの代よりも高いとGavrilov氏は述べている。米国勢調査局によると、米国の100歳以上の人口は1990年には3万7,000人、2000年には5万5,000人で、今後も増加が見込まれている。