栄養ドリンクとアルコールのミックスはだめ
欧米で人気のあるレッドブル(Red Bull、日本でも2006年4月から発売)などの栄養(エネルギー)ドリンクとアルコールを同時に摂取することが流行になりつつあるが、この組み合わせは知覚と現実との乖離(かいり)をもたらす可能性のあることが、ブラジル国立サンパウロ大学の研究で明らかになった。
米医学誌「Alcoholism: Clinical & Experimental Research」4月号掲載の研究で、同大準教授で精神生物学者のMaria Lucia O. Souza-Formigoni氏らは、26人の若年健常ボランティアを、アルコール(ウォッカ)0.6g/kgまたは1.0g/kg摂取のいずれかのグループに割り当てた。全ての被験者が、アルコールのみ、レッドブルのみ、双方の併用を摂取する3つの実験セッションを完了した。各セッションでは、運動協調性、反応時間、呼気アルコール濃度などが評価された。
その結果、アルコール単独では、衰弱レベルが高く、歩行困難があり、筋肉の緊張が上昇。併用では、アルコール誘発性の頭痛は抑制されたが、レッドブル単独と比較した場合、疲労感、めまい、衰弱があり、視覚、歩行、聴覚、言語で変化が見られた。また、アルコールの影響が十分に軽減されていないにもかかわらず、被験者は酔いの感覚が軽減したと報告していた。
Souza-Formigoni氏は「栄養ドリンクとの併用でアルコールの影響は軽減したと感じていても、実際はまだ残存しており、運動協調性は障害されたままである。運動協調性を要求される車の運転や活動は避けるべきである」と述べる。
レッドブルの製造元ではアルコールとの混合摂取は勧めておらず、米エール大学予防医学研究センター長で公衆衛生学準教授のDarid L. Kats博士も「アルコールによる機能障害は、栄養ドリンクの影響下では異なる感覚をもたらすが、アルコールの脅威は残存するというメッセージを一般に知らせる必要がある」と述べている。