新しい脳卒中予防ガイドライン
米国心臓協会(AHA)と米国脳卒中協会(ASA)は、新しい「一次予防ガイドライン」で、脳卒中を予防するための健康的な生活習慣および適切な治療を強く呼びかけている。このガイドラインは医学誌「Stroke」5月号に掲載されており、リスクを軽減させるため、次のような対策を示している。
患者側:
・定期的に(最低年2回)血圧検査を受け、常に血圧を管理する。
・喫煙および受動喫煙を避ける。
・糖尿病患者は血圧を厳重に管理する。
・低塩(1日2.3グラム未満)、高カリウム(1日4.7グラム以上)を心がける。果物、野菜、低脂肪の乳製品を多く摂り、飽和脂肪および総脂肪を控える。
・総コレステロール値を下げる。
・体重を減らす(血圧降下につながる)。
・適度な運動をする(1日最低30分間)。
医師側:
・脳卒中リスクを増大させる心血管疾患を治療する。
・心房細動のある高リスク患者には、抗血液凝固薬または抗血栓薬の使用を検討する。
・糖尿病およびその他の危険因子(リスクファクター)のある患者にはコレステロール低下薬であるスタチン系薬剤の使用を検討する。
・無症状で重篤な頸動脈閉塞のある患者には、予防措置として内膜切除術を検討する。
・小児の鎌状赤血球症患者には経頭蓋ドップラー超音波検査を実施し、高リスク患児には輸血療法を検討する。
・成人の鎌状赤血球症患者については脳卒中リスクを評価し、危険因子を管理する。
・エストロゲンを含むホルモン療法薬(プロゲスチンの有無に関わらず)の処方を避ける。
また、次のような対策も示されている。
患者側:
・アルコールを控える(男性で1日2杯、妊娠していない女性で1日1杯まで)。
・不正薬物を使用しない。
・喫煙する女性または血栓の既往歴のある女性は経口避妊薬を使用しない。
・睡眠呼吸障害の徴候(大きないびき、日中の過度の眠気、睡眠中に息切れを繰り返す)がある場合は、専門医の検査を受ける。
医師側:
・メタボリックシンドロームの各症状(腹部肥満、高トリグリセリド、低HDLコレステロール、高血圧、インスリン抵抗性)を治療する。
・高リスクの女性には低用量アスピリン療法を検討する。