バイアグラを違法薬物と併用する若者
勃起不全(ED)は一般的には高齢男性の問題としてとらえられているが、若者の間ではED治療薬バイアグラをアルコールや違法薬物と併用する傾向がみられ、STD(性感染症)の増加の可能性が懸念されている。
米国の若者の間で、バイアグラなどのED治療薬がどのくらい普及しているかは不明だが、先ごろサンフランシスコで開催された米国小児科学会(PAS)で報告された、シカゴの3大学における18〜25歳の男子学生234人の性的行動を調査した研究結果から、相当数の若者が使用していることが推測された。
米小児記念病院(シカゴ)などの研究者が行った調査研究では、調査完了者の6%がED治療薬を服用しており、うち57%はED治療目的で、29%は性的能力向上のために使用していた。研究著者で同病院一般小児科のNajah Senno Musacchio博士は、服用者の64%がアルコールやmethamphetamine、コカインなどの薬物と併用しており、「これら薬物は性欲を増大させる一方で、性的能力を低下させる。バイアグラを併用することで通常は不可能なセックスが可能になる」と述べている。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)臨床泌尿器学教授で,米国泌尿器科学会(AUA)スポークスマンのIra Sharlip博士は「一つの研究から結論を導き出すのは難しいが、併用が危険な性行動に走らせることが事実ならば、望まない妊娠や性感染症リスクを増大させる」という。
調査では、ほとんどの学生が医師以外からバイアグラを入手しており、54%が友人やインターネットから入手していた。Musacchio博士は「医療提供者は蚊帳(かや)の外だ。医師は若者の親に子どもがED治療薬を使用しているか否かをたずね、使用しているならば、他の薬物と併用した場合の危険性について知らせるべきである」と述べている。