薬物への生体反応は幼児と成人では大きな差
薬剤や環境有害物質に対する反応性は年齢に左右されることが、米セントルイスで開催された米国科学振興協会(AAAS)の年次集会で発表された。乳幼児、小児および成人の間では化学物質の代謝に大きな差がみられるという。
米ウィスコンシン医科大学(ウィスコンシン州)の研究チームによれば、人は年齢が上がるにつれ、体内の酵素のタイプやレベルが大きく変化するという。特定の化合物やそのほかの因子の有無によって、酵素が薬剤や環境有害物質を活性化させることもあれば、不活性化させることも、またその両方の場合もある。
今回の研究で、乳幼児および小児の体内では、成人とは異なる調節機構により制御されている酵素が複数あることがわかった。また、3〜6歳の幼児には、いくつかの酵素に正常範囲を超えた変動性がみられる時期があることも明らかになった。幼少期には酵素の発現ないし増大に大幅な個人(個体)差があることを示唆するものである。
「小児について薬剤の有効性および安全性を検証する際には、酵素発現にみられるこの劇的な変化を考慮する必要がある」と、研究を率いる同大小児科、薬理学・毒物学教授のRonald N. Hines氏は述べる。このような変化が生じる機序および個人差をもたらす分子基盤を理解し、小児の薬剤および毒物への反応性の予測に役立てるためには、さらに研究を重ねる必要があるという。