ファイザー社、メルク社はまだすべての情報を公開せず
新薬に関する情報を公開するという取り決めができてから約1年が経過するが、ニューヨーク・タイムズ紙の記事によると、米国の製薬企業のいくつかは臨床試験に関する重要な事実を公表していないという。
新研究とすでに市場に出ている薬剤についての完了した研究について、どの程度の情報を出すかについては、企業によって一致していない。イーライリリー社などいくつかの企業は、インターネット上に数百の臨床試験結果を掲載しており、販売するすべての薬剤の研究結果を載せると約束しているが、ファイザー社やメルク社などは少ない情報しか開示しておらず、さらなる情報の公開については、企業間の競合を理由に、出し渋っている。
製薬企業側で統一が見られないと、医師や患者が薬剤についての重要な情報を得られない。研究についてのすべての詳細データ公開を拒む企業は、わかったことを掲載しない、あるいは好ましいデータのみを公開する、という方法で、自社に好ましくない結果を隠すことができると、科学者や医療ジャーナリストは批判している。
米国立衛生研究所(NIH)提供の臨床研究についてのウェブサイトclinicaltrials.govの責任者Deborah Zarin博士は「臨床試験への申し込みや臨床試験結果の普及を支援するという製薬企業からの公開資料はたくさんあるが、重要なのは詳細部分」とNew York Times紙に語っている。