二焦点眼鏡に代わる“液晶眼鏡”
これまで使われてきた遠近両用の二焦点眼鏡に代わり、テレビや携帯電話に用いられる液晶画面の眼鏡バージョンが登場しそうだ。2枚のガラスの層には挟まれた薄い液晶シートに異なる電圧をかけることによって、遠距離から細かい文字に至るまで瞬時に焦点を合わせることのできる眼鏡ができるという。この知見は、米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences」の4月3-7日号に掲載された。
老視および近視を持つ人の多くは、部分ごとに集光力が異なる二焦点や三焦点の眼鏡を利用しているが、この新しい液晶レンズは光路(optical path)の変化に応じて自動的に焦点が変化するという。基本原理は液晶テレビなどと同じで、液晶分子に電流を流すことによってオンとオフを切り替えるというものである。これをレンズの異なる領域で行い、電圧によってオフとオンを切り替える。
このレンズでは、同心円状に並ぶ小さな透明の電極によって液晶層の屈折力を調節する。低い電圧で作動し、1秒未満で焦点を切り替えることができる。電力が切れるとレンズは集光力をもたない形態に戻るため、運転中に使用しても安全だという。
この眼鏡は、米アリゾナ大学光科学助教授Guoqiang Li氏らが、PixelOptics Inc.社(バージニア州Roanoke)との協力により開発したもので、3年ほどで製品化が可能になると考えられている。このレンズの開発および販売について、PixelOptics社からのコメントは得られていない。