シリコン製乳房インプラントの再上市をめぐり審議
シリコン製の乳房インプラントの最大93%が10年以内に破裂する、との衛生規制機関の米国食品医薬品局(FDA)に対する報告を受け、FDAは乳房インプラントの再上市の認可を検討中である。ニューヨークタイムズによれば、FDAは乳房インプラントの安全性に関する近年の研究報告を検討し、インプラントを施行した女性の証言を得るため諮問委員会を招集する予定。(編集部注=4月11日に諮問委員会で聴聞会が開始され、同12日にまずInamed社製品の再上市を5対4で否決、13日にはもう1社のMentor製品を7対2で可決した。)
報告では、10年間の破裂発生率を評価したところ、インプラントは年数が進むにつれて破裂の危険性が高くなると考えられた。また、10年間の破裂発生率は推計約21%であるという。FDA諮問委員会は4月13日までに乳房インプラントの適用範囲拡大の再承認を推奨するかどうかを決定する意向。1992年には、数件の試験に参加したごく少数の女性にシリコン製インプラントを使用したところ、インプラントに起因する結合組織病および自己免疫疾患が多数報告された。
FDAは通常、諮問委員会の勧告に従うが、前回この問題が検討された際には許可されるまでは容易ではなかった。2003年10月、同諮問委員会の採決は9対6でインプラントの再承認を促すものとなったが、委員会議長がFDAに対してさらに検討を進める必要性を書面にて提示し、FDAは最終的にこれに従った。
今回、諮問委員会で検討される主な問題点は、破裂の頻度、破裂した際のシリコンの状態、破裂が健康に及ぼす影響の3つ。1999年には、科学者による個別の委員会が開かれ、乳房インプラントが疾患の発症原因となるとする訴えを裏づける証拠は認められないとの結論に至っている。さらに副作用が概ね感染症、疼痛および瘢痕など局所的な合併症のみであることを明らかにしている。