定期的検査が緑内障を防ぐ唯一の手段
最初は何も気づかない。そして気づいたときには失われた視力を取り戻すには遅すぎる――緑内障は初期症状がないことから“沈黙の視覚泥棒”と呼ばれる、やっかいな病気である。視覚の異常に気づいたときには、病状はすでに相当進行しているという。
40歳以上の米国人220万人が緑内障であり、12万人がそのために失明している。毎年30万人が新たに緑内障と診断され、約5,400人が全盲となるという。初期症状がないため、定期的な検査だけが唯一の予防手段である。
緑内障とは、眼球内の液体が増加して内部の圧力が上昇し、視神経を圧迫して損傷し、視野に欠損部(物が見えない部分)が生じる一群の疾患の総称である。視野欠損は周辺部で始まり、徐々に広がり、最終的にはすべての視野が失われる。
緑内障には誰もがなりうるが、次の場合が高リスクである:
・60歳以上の人すべて
・40歳以上の黒人
・緑内障の家族歴がある
・近視である
・目にけがをしたことや、目の手術を受けたことがある
・高血圧または糖尿病である
・ステロイドなどある種の薬剤を頻繁に服用している
このようなリスクファクター(危険因子)があったら、年齢に関わらず検査を受けるべきだという。検査には、瞳孔を広げて視神経の損傷を眼科医が直接調べる検眼法や、眼圧計による眼球内の圧力測定、厚度計による角膜の厚さの測定などがある。
治癒手段はないが、治療方法はいくつかある。治療可能な唯一の因子は眼圧で、薬物療法やレーザー線維柱帯形成術(LTP)、手術によって眼圧を下げ、視神経の損傷に歯止めをかける。早期の場合、点眼薬や錠剤を服用する薬物療法で、眼内の液体を減らしたり、液体の排出を助けたりすることで眼圧を下げる。
レーザー線維柱帯形成術(LTP)は、液体の排出路にエネルギー波を送って、眼から自然にしみ出す排水量を増やして、眼圧を下げる。しかし効果は徐々に減少し、患者は薬物療法を続けなくてはならないことも多いという。
薬物療法やレーザー手術で眼圧調整がうまくいかなかった場合、従来型の手術が選択される。手術では、目の組織の一部を除去して液体の排出路を新たに形成する。しかしリスクも伴う。感染症の経過観察が必要で、排水が多くなりすぎると「眼がしぼんでしまう」こともあるという。