過敏性腸症候群の母親は子供を過保護にする
過敏性腸症候群(IBS)の母親は、子供が腹痛を訴えたときに過保護な対応をしやすいという報告が、ホノルルで開催された米国消化器病学会(ACG)年次集会で発表された。母親の過保護が実際に病気を悪化させたり、必要なく学校を休ませたりする事態を生じ、子供の出生順も母親が見せる反応に影響しているという。
米ワシントン大学(シアトル)のShelby L. Langer博士らは、342人の子供と228人の母親に面接調査を行った。母親のうち112人はIBSと診断されていた。子供は、親の心配度を測るためのアンケートに答えた。アンケートの質問事項は、おなかが痛いといったときに、親は学校を休むように言うかどうかなどである。
その結果、母親の保護度についての子供の認識は、出生順で大きく異なることが判明し、第2子、第3子は、一人っ子よりもはるかに強く親の保護度を認識していた。しかしこの違いが明白なのは母親がIBSの場合のみで、母親に慢性疾患がない場合には違いはみられなかった。
過去の研究では、病気と訴えたときの母親の反応が大きい子供は、腹痛がより強く、腹痛で学校を休むことがより多いことがわかっている。
Langer博士は「保護するつもりが、実際には子供を病気へと導く行動を強化しているかもしれない。結果として、子供は学校を休むことが増え、症状の愁訴が増える」と述べ、親がどう子供に反応するのかについてより深い研究が必要としている。