慢性の咳(せき)は生活の質を低下させる
3週間以上続く慢性の咳(せき)に悩む人は、生活の質(QOL)が著しく低下しているという知見が、モントリオールで開催された米国胸部疾患学会(ACCP)で報告された。
生活の質の低下は、重い病気ではないかという不安、不快な身体状態、休みなく続く咳に対する怒りと欲求不満、周りの目を引いてしまう不快感など、さまざまな要因によって生じる。失禁してしまうこともあり、配偶者が寝室を別にすることもある。
米メイヨークリニックのKaiser Lim博士らは、下記の問題を抱える慢性咳患者146人を調査した:
・生活や娯楽への障害
・頻繁な通院と検査
・睡眠障害
・社会的活動参加への障害
・咳に対する他人の反応
・欲求不満、かんしゃく、怒り
65歳未満の慢性咳患者の3分の1が、配偶者やルームメートが寝室を別にしたと回答。慢性化した咳による睡眠障害が日中の極度の疲労や倦怠感を招いているという回答もあった。多くの患者は、慢性咳の原因である疾患の診断や治療のプロセスに時間がかかることにも欲求不満を感じていた。
免疫機構に異常がない非喫煙患者の場合、慢性咳の診断を単独の検査でつけることはできず、系統だった消去法で探っていくことになる。精密検査の後でもまだ診断が確かにならないこともあり、これが患者のいらいらにつながるとLim博士は述べている。
患者側では、精神的および身体的苦痛があることが、医療の助けを求める優先的理由となっている。慢性化した咳が患者の社会面、精神面、身体面に及ぼす悪影響を研究しているLim博士は、患者にとって大切なのは、慢性咳の問題解決に努力している医師がいると理解すること、と述べている。