認知行動療法が腰痛緩和に有効
慢性的な腰痛に、認知行動療法が運動療法と同様の効果があるという報告が、医学誌「BMC Musculoskeletal Disorders」1月20日号に掲載された。
腰痛患者は非常に多く、米国人の5人に4人は、生涯のある時期で腰痛に悩まされるという。たいていの腰痛は短期間の急性腰痛だが、3カ月以上続くと慢性とみなされる。
オランダ、BlixemboschリハビリテーションセンターのRob Smeets 博士らは、慢性腰痛患者212人を、無作為に積極的運動療法(APT)群、認知行動療法(CBT)群、APTとCBTの組み合わせ群、治療なしの群の4群に割り付けた。
APT群は自転車に乗る運動をし、背筋を強化する運動を行った。認知行動療法は患者が疼痛にうまく対処することができるように手助けするもので、CBT群は、積極的に運動することへのためらいをどう克服するかを教えられた。治療は10週間行われ、被験者は全員、研究開始前と終了後に、心理面、運動機能面についてのアンケートに答えた。
その結果、APT群、CBT群は、治療なしの群に比べ、身体機能や疼痛の程度に向上がみられた。しかし組み合わせ療法群は、単独の療法群と同様の効果しか示さず、よりよいという結果は出なかった。障害が少ない患者では運動療法が比較的望ましく、障害が中等度から重度の場合には認知行動療法がよいとSmeets博士は述べている。
米サウスフィールド地域病院(ミシガン州)運動医学部長のScott Eathorne博士は、認知行動療法は慢性腰痛患者の自分自身への見方を変え、身体的な部分だけでなく、疼痛をどう考え、どう行動するかという点にも取り組むもので、その効果には驚かないという。
組み合わせ療法が単独療法に勝らなかった点は、運動機能の向上には限度があるためとも考えられるし、組み合わせ群が研究プロトコルに忠実でなかった可能性や、統計上の差異を出すには被験者が少なかった可能性もある。Smeets博士らは被験者を1年間追跡中で、今回の効果が長く続くかをみるという。
Eathorne博士は「腰痛管理には、いろいろな分野からのアプローチが鍵。運動、感情、行動面を考慮した治療デザインが必要」と述べている。