適量のコーヒーは早産リスクを高めない
妊娠中でも、適量のカフェイン摂取であれば、早産や低体重児出産のリスクを大きく上昇させないことが、英医師会誌「British Medical Journal」1月27日号掲載の研究で明らかにされた。ただし、コーヒーが妊娠女性に必要な食品というわけではなく、飲みすぎには注意が必要。
研究著者で、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)疫学教授のJorn Olsen博士らは、1日3杯以上コーヒーを摂取する、妊娠20週未満の健康な女性1,207人をモニターした。被験者は、カフェイン含有と非含有(decaf)のインスタントコーヒー摂取の2群に割り付けられ、紅茶やコーラなどによる他のカフェイン摂取の調査も受けた。
その結果、妊娠期間や出生時体重で2群間に有意差は認められなかった。カフェイン摂取群での早産は4.2%、低体重児出産は4.5%であったのに対し、非含有群では、それぞれ5.2%と4.7%だった。また、カフェイン摂取群の女性で1日10本以上の喫煙者は、非摂取群の同様の喫煙者より新生児の平均体重が少なかった。研究者らは、これは偶然の結果かも知れないが、喫煙者は非喫煙者よりもカフェイン代謝の速いことが理由とも考えられるとしている。
米レノックスヒル病院(ニューヨーク)産婦人科医のJennifer Wu博士は「今回の研究は、カフェインの多量摂取が低体重児出産や早産を招くとする説に反論しているようだが、1件の研究で示されたにすぎない」と述べるとともに、「妊娠期間中は興奮性飲食物の摂取は減らしたほうがよい」としている。
複数の研究では、妊娠中のコーヒーの多量摂取は、低体重児出産や早産に加えて、死産や生後1年以内の死亡リスクを高めるとしており、流産の可能性も高いことが指摘されている。
Olsen氏も「カフェインが流産などを引き起こす可能性は排除できない。我々の研究は、胎児の成長と早産にのみ焦点を当てたものであり、明らかになったのはその部分のみ」という。「カフェインが妊娠女性の必須食品だとする理由はないし、注意するに越したことはない。しかし、たとえ低体重児出産したとしても、カフェインが原因である可能性は非常に低い」と述べている。