勃起不全は心血管疾患発症の警告サイン
勃起不全が心臓発作(心筋梗塞)や脳卒中、その他の心血管疾患の発症を警告する主要な徴候であることを示す研究結果が、米医学誌「JAMA」12月21日号に掲載された。
米テキサス大学健康科学センター(サンアントニオ)のIan M. Thompson博士らは、前立腺癌(がん)予防に関する臨床試験に参加した男性9,000例以上を追跡調査した。1994〜2003年にかけて、3カ月毎に勃起不全および心血管疾患に関する評価を実施し、高血圧や高コレステロール血症、喫煙、糖尿病など、心血管疾患発症の既知の危険因子(リスクファクター)に関して慎重に評価を続けた。
その結果、当初性的機能に何ら問題が認められなかったが後に勃起不全を来した男性は、そうでない男性と比べて、7年後に心臓発作や脳卒中などの心血管疾患の発症率が25%高かった。試験開始時にすでに勃起不全を来していた男性の心血管疾患の発症リスクは45%高く、高齢男性では2倍であった。
米ミシガン大学予防心臓病学部長Melvyn Rubenfire博士によれば、規模と検出力がこれまでの研究をしのいでいる点と、典型的な危険因子をすべて対象としている点が評価されるという。また、St. Paul Heart Clinic研究部長のAlan J. Bank博士は、実地医療の観点から、勃起不全の診断の際には、心血管疾患の危険因子に対して積極的に評価する必要があると指摘。勃起不全と心血管疾患はいずれも、一酸化窒素(NO)活性の低下が原因として挙げられ、Bank博士は2年前、勃起不全を来す男性は、血管内の一酸化窒素の機能が低下していることを明らかにしている。
米国では40〜69歳の男性で、年間60万人以上が勃起不全を来していると推計されることから、Thompson博士らはこの研究結果の意義は実質的に価値あるものとの見解を示している。勃起不全を来している男性は、まず標準の心血管疾患の危険因子について検診を受け、それら因子から身を守る対策を講じる必要があることが示唆される。